「今日も暑いな海堂」
海堂の家にきている乾は、本を読んでいる海堂の背中に顔をうずめていた。
「先輩がくっつくからです」
「でも、罰ゲームだろ?」
そういわれると、ため息が出る。
なんで、先日あんな挑発に乗ったのだろうか。
一昨日
「大石―!!!!」
「今クラスでおもしろいゲームがはやってるんだけど」
いきなり、遠くから大きな声をだして駆け寄ってきたのは菊丸だった。
「へー英二がおもしろいっていうぐらいだから、そうとう、楽しいんだろうね。で、何がはやってるんだ?」
たいていろくなものでは無いと知りながらもそう言わないと菊丸が怒るのはすでに承知している大石だった。
「お・お・さ・ま・げ・−・む」
(やっぱり・・・・)
部内が一瞬止まった。
なぜなら、この魔のゲームによって一度青学テニス部員はとんだ目に遭ったからだ。
なかでも、一番被害に遭ったのが乾と海堂だった。
そして、また、この悲劇が繰り返されようとしていた。
前回は、大会制覇ということで打ち上げの時に王様ゲームを行った。
大様ゲームは引くだけなので誰が王様になるかは分からない。
そして、誰が指名されるかも予想がつかない。
王様になったのは菊丸。指名されたのは乾と海堂。
罰ゲームは校内を手をつないで1周だった。
あの時以来、海堂と乾は変な噂で持ち上げられていた。
「で、皆やるでしょ?もちろん海堂も」
菊丸の邪のない笑顔が海堂にむけられる。
「いや、俺は・・・」
「また、指名されるのがこわいの?」
「んなことは!!!」
つい、むきになってしまう海堂。
「じゃあ、決定―」
こうして菊丸の挑発に乗った海堂もゲームに強制参加することになった。
海堂がやることになればもちろん乾も参加する。
このゲームは乾にとっては好都合なものだった。
そして、芋づる式にレギュラーたちはこのゲームに参加することになった。
「やったー!!!俺が王様」
王様になったのは菊丸だった。
レギュラーたちの顔色が変わる。
(誰が命令されるんだ・・・・!!)
誰もが心の中であせっていた。
「じゃあ、2番と4番が2日間くっついているってことで」
2番・・・・と・・・・4番・・・?
レギュラーはいっせいに海堂と乾を見つめた。
そう、今回の犠牲者それは、またもや、海堂と乾なのである。
「頑張ろうな、海堂・・・・」
乾は内心うれしい、海堂は罰ゲームだからとあきらめている。
「・・・・・っす」
「今日は、ちょうど金曜日だったし!乾の家に泊まっちゃえ」
「そんな、無責任な・・・・」
「まあ、乾、海堂、たかが罰ゲーム」
大石は菊丸の対処の仕方を知ってる。
「ここは、英二の言うことを聞いた方が身のためだ」
大石流菊丸の対処の仕方・・・・とりあえず言うことをきいておく。
じゃないと、後がうるさくなる。
それは、誰もが知っていることだった。
こうして、部活?とはいえ無いけど、部活を終わらせた。
これは、回想。そして、今に至る。
「暑いな、海堂」
うるさいくらいに鳴き響くセミの声。
こんな、都会でもセミの声は聞こえる。
そして、さらに暑さを増させる。
「そんなに、暑いなら脱げば?」
乾の目が光る。
「・・・・」
「でも、その服びしょびしょだろ?もしよければ俺のTシャツ貸すけど」
確かに、水が絞れるくらいに海堂のTシャツは濡れていた。
「じゃあ」
海堂がそういうと乾はTシャツを用意した。
乾のTシャツを着た海堂をみて「ぷっ」っと笑った。
ぎろっと海堂が睨む。
「なんっすか」
その声は先ほどよりも不機嫌になっていた。
「いや、可愛いなーって思って」
乾とは明らかにサイズが違うため、乾のTシャツを着た海堂はだぼっとなっていた。
「・・・・・・」
「照れてる?」
うつむいた海堂の顔を覗きこむ。
「ばっ!!!そういうこと口に出して言うなよ!!あんたは」
海堂のその反応が可愛くてまた乾は笑い出す。
そんな乾に対してむーっと赤くなり照れる海堂。
「たまには、こういうのも楽しいね。菊丸に感謝かな」
「感謝って・・・・・・罰ゲームなわけだし」
それでも、乾はまた笑って今度は海堂を引き寄せた。
「不幸も幸のうちってね!・・・・・・ちょっと使い方間違えたかな?」
「おもいっきり」
こういうひとときがあるのもなにかの運命なのかもしれない。
だから、罰ゲームを受けるのも運命のうち。
こんなに、いい罰ゲームだったら何回でも受けてやるさ!
乾は、さらに海堂を引き寄せて一人でこんなことを思っていたとは海堂は知るよしも無い
yoshiyuki