亜久津も同じ空の下にいるのだ、と考えると少しだけどきどきした。
昨日、何だかわからないけど亜久津は怒っていた。
もちろん、俺が無意識に怒らせてしまったんだろう。
喧嘩なんてめったにしない。口論ぐらいならあるけど・・・・。
そして、俺から無視することはあっても亜久津から無視することは今までになかった。











だから、俺は正直焦る。










次の日東方に相談したら「あーなんとなくわかるかも」って言って、何も教えてはくれなかった。






東方いわく





「自分で理由を探さなければ意味がない」






らしい。
言ってることはわからなくはないけど、焦っている俺にはもうすでに考える余裕なんってなかった。
今日も千石が遠くから大声で俺の名前を呼んだ。
千石は俺と亜久津が喧嘩しているのに気が付いて心配してくれたらしい。
千石にも聞いてみる。
「なあ、俺怒らせた理由がまったくわからないんだけど千石何か知ってるか?」
「うーん、ごめんわからないや」
その時千石の視線が俺全体に向かった。
「南、その傷どうしたの?」
所々擦り傷だらけになっている俺の体を見て千石はまた心配そうな声を出した。
「いや、まあクラスの奴らが喧嘩しててそれの仲裁してたら逆に突き飛ばされちゃって」
いつものことだからっと笑って千石と別れた。
今日亜久津は学校に来ていないみたいだ。
いつも、隣にいると思ってたから色々安心していたけど、実際いないと淋しい。
亜久津の存在感を大きく感じた。
念のために屋上へ行ってみる。
屋上へむかう最後の踊り場に着いたときぼそぼそと話し声が聞こえた。
よく聞いていると東方と亜久津だった。
扉を少し開けて二人が並んで道路の方をみているのをこっそり見た。
亜久津はちょっと不機嫌そうに煙草をくわえている。
「南だって悪気があって、、、、じゃないんだし」
東方が突然俺の名前を出した。
「それはわかってる」
亜久津の口から白い煙が出る。
とても、おいしそうには見えなかった。
「まあ、あいつはお人好しだから」
「知ってる」
「それに、・・・亜久津のことも好きだし」
東方はちょっと言いにくそうにそう言った。
「知ってる」
亜久津の顔がにやっとなった。
その状況から東方は俺のためにフォローしてくれているのだ、と気付いた。
さすが、相方。
なんだかんだ言っても優しい。
そんなことを考えていたら東方が話を終えたらしくこっちへ向かってきた。
どうすることもできずそこで東方と鉢合わせした。








「南!?」
「よっ」
「聞いてた?」
東方から冷や汗が流れているのがわかった。
「ちょっとだけ・・・ありがと」
東方の優しい心遣いに感謝した。
「頑張れよ」
背中をぽんっと叩いて東方は階段をおりていった。
俺は恐る恐る屋上の扉を開けた。
扉は錆びていてどう頑張っても音が鳴った。
少しずつ亜久津に近づく。










「亜久津」












亜久津はゆっくりと振り返った。
「俺何したかわからないけど本当にごめん」
しばらく沈黙が流れる。
「別に怒ってねーよ」
やっと亜久津が口を開いてくれた。
「てめーの体ぐらい自分で守れよ」
胸元を引っ張られた。
「ご、ごめん?」
「馬鹿じゃねえの?喧嘩止めておいて自分怪我して」
そのままキス。
「もしかして、心配してくれてた?」
亜久津を見上げた。
「んなんじゃねーよ」
そういった亜久津の顔はちょっと紅くなってた。
そんな亜久津をいとおしく感じた。
「心配してくれてありがとう」













こうして亜久津と俺は再び元どおりになった。
あとから、東方に聞いた話だが亜久津は俺が怪我をした日に怪我をさせた二人を脅したらしい。
そういえば次の日からよそよそしくなったような気がしてたから、そのせいかと納得した。






yoshiyuki