ある晴れた日の授業中。
「先生・・・・・・具合悪いっす・・・・」
海堂は青い顔をして先生に言った。
今にも倒れだしそうな海堂は先生の許可を取って保健室に行く事になった。
誰もいない廊下を歩く。
自分の足音しか聞こえなかった。
そんな静けさが余計具合を悪くさせた。
保健室に入ると・・・・・。
「やあ、海堂」
そこには、膝を真っ赤に染めた乾がいた。
乾の膝からは、だらだらと血が流れてきている。
見ているだけで痛そうだ。
海堂は傷口から目をそらすと乾の方を見た。
「ッス・・・・」
保健室には、先生がいないらしく乾は自分で手当てをしていた。
「ごめん、海堂ちょっと手伝ってくれないかな」
乾は、包帯の端っこを持つと海堂に助けを求めた。
「はい」
海堂は、ゆっくり体を動かしながら乾の方へ向かった。
「ここ、押さえて」
海堂は、乾に言われるがまま包帯の端を押さえた。
「さっきから、俺がどうして怪我したのか聞きたそうな顔してるね」
乾は、海堂の方をチラッと見るとそう言った。
「・・・・・・・・・」
海堂は、何でわかったんだ?と考える。
あの乾が、海堂の考えている事がわかっても別に変ではない。
それに、気づかないのは海堂だけだ。
「今、体育の時間だったんだよ・・・・サッカーでね。小石につまずいてこうなったのさ」
乾は自分の膝を指さした。
傷口が隠れていても痛そうだ・・・・・・。
「ところで・・・・海堂は?・・・・さっきから顔色が悪いけど」
きちんと、海堂のことにも目を向けていた乾。
「だ、大丈夫っす・・・・・・・」
青白い海堂の顔が太陽の光に透けて今にも消えてしまいそうだ。
「本当に大丈夫か?ベッドに行ったほうがいいぞ」
乾は、海堂の腰を支えると海堂を椅子から立たせた。
「どうも・・・・・・・っす」
海堂は乾の肩につかまりベッドの方へ行った。
「じゃあ、俺はこれで・・・・たぶん軽い貧血だと思うからしっかり寝ると大丈夫だと思うよ。それっじゃあ、また部活で」
乾が保健室から出ようとしたら海堂は体を起こした。
「先輩・・・・・。ありがとうございます。体育、頑張ってください」
「ああ」
乾が出て行くと海堂は目をつぶった。
一人になった海堂。
海堂が今見ているのは闇。
一人・・・・・・・・。
保健室独特の匂いが漂う。
乾の男くさいにおいとは、違う。
海堂はどっちかというと乾のにおいの方が好きだった。
乾のにおいは落ち着く。
なんだか、授業中にこんなところに一人でいるといろいろ考えてしまう。
考えすぎると、つらくなってくる。
つらさがたまればイライラも積もってなんだか眠る気分になれない。
結局、海堂は一睡もしないまま次の授業にのぞんだ。
部活。
「具合はどう?」
「寝たんで、大丈夫っす」
もちろん嘘。
嘘。
「ふ〜ん」
素っけない。
走り狂う海堂。
頭がクラクラする。
「ハァ・・・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・あっ」
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