「モンブラン」
亜久津が、うちの部に入部してからずいぶんたった。
亜久津が始めてきた日は、空が青かった。
雲ひとつない青さだった。
これこそ、最高の晴天。
まさに、いい事のありそうな日。
うちの学校はダブルスが強くてシングルスが弱い。
そこで、伴じいは小さいころにテニスをやっていたらしいと言われている、亜久津をうちの部へ勧誘した。
まさか、あの亜久津がテニスを出来るなんって思ってもいなかった。
亜久津は有名だ。
学校でも学校外でも・・・・・・・・。
亜久津の事を知らない人は校内にはいないと思う。
もちろん、俺も亜久津の事は知っていた。
だって、亜久津は怖いし・・・・そんな怖さがカッコイイから。
でも、なんで亜久津はテニス部に入ってくれたんだろう?
耳にした噂によると、伴じいが無理やり誘ったらしい。
俺も、伴じいにいろいろ言われて亜久津に話しかけてみようと思ったけど雰囲気に負けて結局は無理だった。
でも、その噂には裏があり千石も関わってるとか・・・・・・どうとか・・・・・。
千石は何者なんだろう。
勇気あるやつっていうか・・・・・お調子者っていうか・・・・・。
でも、そんな千石がうらやましいときもある。
千石は、明るくって目立ってるし・・・・・。
あの亜久津としゃべれるところもすごいしな。
オレンジ色がよく似合う千石は明るい性格だ。
どんなに雨が降っている日だろうと千石の周りのオレンジは消えない。
東方は、よく千石といるけどあの二人ってそんなに仲良かったっけ?
俺と東方の中は結構長いけど千石と東方ほど俺と東方は仲がいいわけではない。
いったい、いつ間に・・・・・・・・・・・・・・。
亜久津からは近づくなオーラが出ているような気がする。
だから、皆は近づかない。
もちろん俺も近づけない。
そして、亜久津本人も人には近づかない。
しかし、亜久津はここの地区でも有名で、喧嘩を吹っかけて来るやつが沢山来る。
そういう奴らは、無視をしないらしい。
亜久津はいつも傷だらけだ。
その傷を見ているだけで痛々しくなる。
亜久津は毎回毎回傷をつくっているけど痛くないのだろうか?
最近では、亜久津の事を怖がっている人が減ってきたと思う。
これは俺が周りの雰囲気を読み取って見ただけだ。
実際はどうなのか分からない。
まだ、怖がっているかもしれない。
皆は、亜久津の実力を知っただろう。
亜久津に抱くのは恐れではなく憧れへと徐々に変わってきているやつもいると思う。
皆それなりに亜久津には、なれてきていた。
ヤッパリ怖いけど・・・・・・・。
俺は、ときどき何もかも見透かされているような目で亜久津に見つめられることがある。
何でそんなに俺を見るんだ?と思う。
そんな時、俺の背中には電気が流れるような感じがする。
痛い感じではなく、こそばゆい感じだ。
亜久津に見られていると緊張する。
体が動かなくなる。
金縛りにあったみたいに動かない。
そして、心臓がドキドキしてくる。
少しずつ大きくなっていくドキドキ。
苦しい。
息が詰まってしまう。
だから、あまり亜久津に見られているのは自分的には好まなかった。
千石は相変わらず亜久津にちょっかいを出す。
亜久津がにらみ返すと東方の後ろにそく、隠れる・・・・が、また、亜久津にちょっかいを出す。
東方は、そんな千石をほおって歩き出す。
そんな、東方に千石が文句を言う。
そんなことの繰り返しで、部活としてはちゃんとなってなかった。
今日は、空の色が少し悪いかな。
うっすらと雲がかかってる。
なんだか、気分がめいる。
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