いつも、亜久津はどうどうと学校でタバコをすっている。
現に今も。
タバコなんって何がおいしいんだろう?
ただたんに、体に悪いだけじゃないか。
俺は、亜久津が吸っているのを見るといつもそう思う。
テニスのためにもやめたほうがいいぞ。
言ってやりたい。
もちろん、勇気がなくって言えないけど・・・・・・・。
煙がモクモクと空に上がっていく。
上に上がって行く煙ほど薄くなっていく。
近くには、伴じいがいて「亜久津君、たばこはいけませんよ。タバコは」とか、言ってる。
けど、亜久津は一向に聞こうとしない。
この部にいる限り(この部にいなくっても)亜久津はたいていの人間を無視するだろう。
亜久津が心を許す人なんっているんだろうか?
亜久津の事はまったく分からない。
何を考えているのかも・・・・・・・・・。
でも、そう、この前始めて亜久津に話しかけられた。
ほんの、一言ぐらいだったけど・・・・E・。
本当にたった一言だけど。
俺はおもわずびっくりして腰を抜かした。
すると、亜久津が手を伸ばしてくれるじゃないか。
俺は、素直にその手をつかんだ。
あの亜久津が手を?
何故?
「だせぇんだよ。俺が話しかけたぐらいで腰抜かしてんじゃねぇよ」
俺は、亜久津に対して失礼な行動を取ってしまった。
「ありがとう。・・・・・・・・・・・・・ごめん」
素直に亜久津の顔が見れない。
見てしまったら、何かが壊れるんじゃないかと思ったからだ。
「ふん。・・・・・・・かったりーけど今日も部活でてやるよ」
なぜか、俺と目をそらしている亜久津。
「うん」
そのまま、亜久津はテニスコートへと行ってしまった。
そのころ俺は、数分間、自分が誰となにを話していたのか忘れてしまっていた。
ふと、気づくと亜久津だったことを思い出す。
思い出すと、背中がぞくぞくとした。
そう。亜久津に見られているときのように電気が走る。
でも、いつもとは少し違うような感じがする。
なんだろう?
この気持ちは・・・・・・・・。
昔もこんな感情を持った事があったような気がする。
あの、亜久津と会話をした事がなぜかすごいうれしかった。
見掛けほど怖いやつではないって事が分かった。
それからとうもの、何回か亜久津と会話するようになった。
もちろん、俺から話し書ける事が多い。
亜久津が話しかけてくるときはたいてい千石に対しての苦情だ。
そして、最近する話題が、甘いものの話。
し始めたら亜久津もはなしにのってきたらしく、俺が「今度なんか、甘いもん作って来てやるよ」って言ったら、ちらっと俺の方を見てその後に短く「ああ」って答えた。
俺は、最近お菓子を作り始めるようになった。
自分でもびっくりだ。
いったいなんでなんだろう・・・・・。
亜久津のおかげかな?
おかげって言うのも少しおかしいけど・・・・・。
約束通りに、次の日モンブランを作ってきた。(栗入り)
たまたま、誰かから亜久津の好きなものを聞いていた。
誰だったかは忘れたけど・・・・・。
「はい。これ・・・・・言っとくけど地味なものじゃねえぞ」
俺が持っていた袋を押し付ける。
モンブランを入れていた袋がちょっと地味だったから中身まで地味って思われるかもしれない。
「・・・・・・・・・・・・・」
俺が渡した箱を亜久津が開けていく。
「・・・・・・・」
亜久津は、中身をじっと見ている。
なにも、しゃべらない。
なにもしゃべらないのはいつもの事だけどこんなときに黙っていられるときまずい。
「モンブランなんだけど・・・・きらいっだった?」
一言もしゃべらない亜久津を見て、聞いた事が嘘だったんじゃないかって心配になって来た。
「別に・・・・・きらいじゃねぇ」
とりあえず、安心。
「それならよかった。たべてみてよ」
亜久津は一口食べる。
「・・・・・・・まずくは、ない」
やった!!亜久津が俺の作った物を始めて食べてまずくはないって言ってくれた。
すごく、うれしい。
俺は喜びに浸っていて顔が緩んでしまっている。
だって、・・・・・本当にうれしいから。
自分の作った食べ物を人に食べてもらうことはよくあるけど、「おいしい」って言われてこんなにうれしいのは初めてかもしれない。
俺は、うれしさに浸っていた。
すると、いきなり亜久津が俺のむなぐらを掴んだ。
俺は、訳がわかんないけど殴られると思って目をぎゅっとつぶった。
突然の出来事だ。
しかし、殴られなかった。
ぎゅっとつぶっている目を少し開けてみた。
亜久津の手は来なかった・・・・。
その代わり・・・・・亜久津の顔が近づいて来た・・・・・。
亜久津の唇が俺の唇に重なる。
軽く。そして、優しく。
next or back