亜久津からは、モンブランの味がする。
あと、亜久津の吸っているタバコのにおいも・・・・・。
だめだ、亜久津に今、キスをされていて頭が真っ白だ。と、言うよりも俺はいつの間にか亜久津のキスを深く求めていた。
このまま、亜久津とはモンブランの味と亜久津のタバコのにおいがしなくなるまでキスをしていた。
「・・・・っは・・・・わりぃ・・・」
亜久津は、俺を押しのけた。
初めに正気に戻ったのが亜久津だった。
「亜・・・・・久・・・津・・?」
いろいろな事が一気におこって頭はパニックを起こしていた。
「なんでもねぇ。やっぱ、今日部活でねぇーーから」
亜久津は新たにタバコの箱からタバコを出すと吸い出した。
そして、タバコをくわえながら、テニスコートとは逆の方へとあるいて行っていた。
俺は我に戻ると、赤面した。
自分からあんなにキスをセガってしまった・・・・・。
思い出しただけで恥ずかしい。
でも・・・・・・・。
不思議な気持ちに襲われた。
それから数日、亜久津に会うことはなかった。
ちゃんと、部活に出ていてくれたみたいだが俺と顔を会わせないようにしていたみたいだった。
会うことはなかったけど、ちゃんと都大会には出てくれた。
都大会は、山吹の負けと終わった。
都大会が終わると、亜久津はなぜか退部すると言い出した。
まだ、部に入ってから日にちもそんなに立っていないのに・・・・・。
こうなったら、殴られてもいい亜久津を連れ戻そう。
訳の分からないまま、二人のわけの分からない関係を終わらせたくなかった。
初めて、勇気を振り絞った。
「亜久津!!」
直球勝負で行こう。
「南・・・・」
低く響く亜久津の声。
「何で退部するんだよ」
「俺が退部して困ることでも?みんなも、俺のこと怖がってるしちょうどいいだろ」
亜久津は、自分を責めてる?
それは、俺の考えすぎなのか・・・・・?
「俺が・・・・俺が困る」
そう。・・・・・・本当に困る。
「・・・・・・・・・」
一言もしゃべらない亜久津。
何か反応しろよ。
「せっかく、仲良くなれたのに・・・・」
ぼそっと、俺は呟いた。
「ふん。たかが、それだけかよ。・・・・それに、俺が退部してお前が一番得をする」
亜久津には、「たかが」なんって言葉を言って欲しくなかった。
「得を?・・・俺が?」
何の事なのかさっぱり分からない。
「このまま俺が、部にいるとどうなるかわかるか?」
亜久津が部活に、いなくって俺が得をする?そんなの間違ってる。
「いや・・・わからない」
だいたい、亜久津はシングルス強化のために入ってきた。
「お前のこと襲うんだよ」
亜久津の口から出た言葉は信じられない言葉だった。
「!!!!」
俺は、驚きを隠せなかった。
「なっ、俺が退部したほうがお前のためだろ」
亜久津はタバコを取り出すと口にくわえた。
「そ・・・・そんな・・・・・ことはない!!」
「はぁ?」
亜久津は、火をつけると少しむせた。
「俺、このまえ、キスしててもっとしたいって思った」
今の発言は少し間違えてしまったような感じがした。
「本当かよ、でも、どっちにしろ俺はテニスやめるぜ」
「なんで、強いのに」
亜久津は本当に強い。
小さいころにやっていてそれからはずっとやっていなかったようなのにブランクというものを感じさせなかった。
亜久津こそ、天才に思える。
誰よりも天才だ。
「俺より上がいるのにダサいことやってられるかよ・・・・・でも、テニスやめてもやっぱ南はあきらめねぇことにした」
亜久津はくわえていたタバコを口からはなすと、初めて亜久津は俺の瞳をまっすぐ見た。
「せいぜい、心の準備をしておくんだな」
そして、もう一度あのときのようなキスを・・・・・・・。
モンブランの味はしなかった。
でも、その代わりに・・・・・・・・・。
タバコの味と、においがなくなるまで・・・・・・・・・・・・・・キスをした。
back or yoshiyuki