それは、夏休みの部活のある日だった。
「海堂・・・・・・明日の夜一緒に花火しないか?」
それは、突然の誘いだった。
別に、夏なんだから花火をするのはかまわない。
海堂はそう思った。
でも、なんで乾に誘われたかはわからなかった。
(そう、きっと部活の皆でやるって事だろう・・・・・・いやでも・・・・・いやいや部活の皆でやるって事だ。・・・・・・そうだ、先輩に確かめればわかる事じゃないか!)
「先輩!明日・・・・・・・」
乾は振り向くと微笑んだ。
「9:00にあの川で・・・・・」
そういうと、乾はさっさとどっかへいってしまった。
海堂は結局肝心な事が聞けなかった・・・・・・・・。
結局、海堂はその日の部活に専念できずに終わった。
海堂はあれから、家に帰っても考えていた。
弟がしきりに心配してくるけど、海堂の頭の中はそれどころではなかった。
「先輩の携帯に電話してみるか」
ドキドキしながらボタンを一つ一つ押していく。
「はい。乾です」
先輩の声がする。
(はっ、当たり前か・・・・・・)
「もしもし、俺っす。海堂っす」
緊張しながらもしゃべる。
乾の電話にかけるのは初めてだ。
電話越しの乾の声はいったいどんな声がするのだろう?
そうな、事を考えながらもドキドキと乾の声が聞こえるのをまつ。
「ああ、海堂か」
やっぱり、電話の声と生の声は違う。
乾の低い声がより低く聞こえる。
「あの・・・・・その・・・・・・えっと・・・・・」
なかなか、聞けない。
そのまましばらく沈黙が続いた。
沈黙が続くことによってさらに緊張が増した。
「どうした?」
なにも話さない海堂に対して声をかけた。
海堂にとってはありがたいチャンスだ。
しかし海堂は、次の言葉を捜がしてみるがなかなか喉の奥から出てこなかった。
「あ、明日のことで・・・・・・・」
やっと、本題に入れそうだ。
「明日?」
また、言葉が出ない。
乾が一言一言しゃべるたびに緊張してしまう。
この緊張感に耐えるに耐えられない。
「だから・・・・・・その・・・・・」
また、言葉が詰まる。
「ん?」
もう、耐えられない。
「明日、部活に出ますか!?」
「ああ、もちろんでるけど・・・?」
「それだけです」
そういって、海堂はきってしまった。
(先輩に聞けなかった・・・・・・・)
海堂は自分のした事に苛立った。
結局、一睡もしないで考えた。
海堂は寝不足のまま部活へ行く事に・・・・・・・。
「よお!!マムシ。顔色がわりーじゃねーか」
また、今日も桃城が海堂にからんでくる。
「マムシって言うんじゃねぇ!!!!」
桃城が海堂の肩に置いた手を払いのける。
「なんだ?今日はやけに機嫌わりーじゃん」
「・・・・・・・・関係ねぇよ」
海堂はそう言うとすぐさま乾の元へ走った。
「やあ、海堂。今日はなんだか顔色が悪いが・・・・」
いつものように海堂の顔色を見た。
よっぽど、海堂が心配なんだろう。
「ああ?・・・・・・・乾先輩!」
先輩とはわからずおもいっきりにらんでしまった。
「本当に大丈夫か?今日の夜やめておくか?」
夜・・・・・・・・・。
「あの〜夜って・・・・・」
今度こそ聞く体制に入った。
「やっぱり、俺なんかのわがままに付き会いたくなかったか?」
(俺なんかのわがまま??)
「いえ、別に」
「そうか、俺も花火を持っていくつもりだけど海堂も持ってきてくれ」
不安げだった乾の顔と海堂の顔がいっきに笑顔に変わった。
「っす」
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