「優しさ」
その人の体温にふれてみてやっとその人のものになったと感じる。
その人の声を聞いていると、どんなに言葉が少なくても頭の奥の残る。
その人の仕草を見ているとその人の性格が出てくる。
その人の俺に接する時はとても、優しい。
手が、上から順に頭から腰、そしてつま先へと向かう。
優しさが俺を包む。
時々殴られてもその後は必ずあっちが謝って優しい手で俺を抱きしめる。
亜久津はそういう、奴だ。
「あれ、亜久津じゃねー」
真っ先に亜久津を発見したのは千石だった。
「あー、あれが噂の亜久津」
そのころ、南は亜久津の存在を噂でしか知らなかった。
数ある噂。
どれもが、いいものではない。
平凡な山吹には亜久津の存在がでかく映っていた。
「亜久津って本当に悪いことしてるのかな、あまりそうは見えないけど」
隣にいた千石と東方は退いた。
「どっから、そんなんが出てくるんだよ、南」
東方は亜久津を上から下まで見ると急に怖さと不安が襲ってきた。
「雰囲気で、あと、ほら、テニスやってる奴に悪い奴はいないし」
「じゃあ、南は亜久津に話しかけれる?」
そう言い出したのは千石だった。
「いや・・・それは、まあ、うん」
後ろで南を止めようとしている東方を無視しながら亜久津の元へ行った。
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